うこうこまーく!
ダウン症おーくんの子育てブログ
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【2021年】療育手帳制度が変わる? 現在の問題点と今後の動向について

ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。

ダウン症のおーくんは2021年3月で1歳になるため、そろそろ療育手帳の取得に動こうと思っています。

以前、ブログでも療育手帳について解説しました。

療育手帳の取得について【知っておくべき重要なポイントを解説】ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。 障害のある方への福祉制度の大きな柱として、手帳制度があります。 その中でも...

記事内でも触れていますが、この療育手帳制度はいくつかの問題点が指摘されています。

そのため、取得や更新で悩まれている方が少なくありません。

そこで今回は、現在の療育手帳制度の問題点についてまとめるとともに、今後の制度がどのようになっていくのかについて整理していきます。

療育手帳の取得を考えている方だけでなく、現在所持している方にも関係する内容となっています。なるべく分かりやすく整理しましたので少しでも参考になれば幸いです。

療育手帳制度の問題点

問題点①自治体の基準に左右される

療育手帳制度は国で統一された法律がないため、各自治体に判定や交付が委ねられています。そのため

自治体によって

・判定の基準が異なる
・軽度や重度の区分が異なる
・取得可能となる年齢が異なる(ex.3歳越えないと取得できない、等)
・名称が異なる
・受けられるサービスが異なる

こうやって書くと同じ手帳制度とは思えないですね。このために困るのが、引っ越しなどで居住する自治体が変わるときです。

「前の自治体では取得できていても、うちの自治体の基準では交付対象ではありません」となってしまうケースもあります。逆に、取得を諦めていても居住地が変われば取得が可能となるケースもあります。

居住する自治体で取得の可否が決まってしまう=受けれる支援やサービスが異なってしまう現状で良いのか、という問題があります。

問題点②配慮や支援を受けるには手帳取得が前提と考えられているものが多い

公共交通機関の減額や高速道路利用の割引や、障害者控除が受けられる、就労支援が受けられる、等がありますが、これらは、手帳を取得して初めて支援や配慮を受けられることになっています。障害のある子の子育ては、医療機関をはじめとして様々な施設に出向かなくてはいけないことが多いため、手帳が取得できるかどうかで大きく変わってきます。

また、特別支援学校の入学には療育手帳の取得を必要としている地域もあります。

このように、手帳を取得していないと、支援を受けることができないだけでなく、教育上の支援を受けにくくなる(取得していることが望ましいと言われてしまうとそれだけで選択肢として考えにくくなってしまう)ような現状は、改善していく必要があると思います。

問題点③判定基準がIQに偏重しすぎている

手帳取得する際に欠かせないのが、発達検査や知能検査を実施しIQ(知能指数)を算出することです。厳密にはIQの数値だけで判定するわけではないですが、現状、IQの数値をかなり重視しています。障害の程度についても”IQが51〜75程度なら軽度”とかIQの数値を基準として区分を決めている自治体が多いです。

しかし、発達検査や知能検査は完璧ではありません。人間の知的な能力は多様に渡っていますが、検査ではその全てを測定できません。むしろ、全体から見れば一部のみ取り上げて測定していると言っても過言ではありません。

また、IQだけでは分からない点として、適応行動の程度というものがあります。適応行動とは、人とのやりとりや日常生活スキルなど日常生活を適応的に送るための力を表すことばです。この適応行動がどの程度身に付いているのかを評価することが外国でも重要視されています。

DSMというアメリカの精神医学的な診断基準では、最新版になり知的障害の診断基準に大きな変更が成されました。それまでは、概ねIQ70~75以下が知的障害とされていましたが、最新版からは知的障害の診断基準に、知能指数の数値基準がなくなりました。実際的な生活適応能力の高低が重視され、学力・社会性・生活自立にどの程度適応できているのか(=どの程度困っているのか、大変なのか)が診断の基準とされました。時代によって知的障害を診断する基準が変化しているのです。

しかし、日本では未だIQを重視する傾向にあります(小学校入学のための就学相談でも同様です)。IQが80代で手帳が取得できなくても、適応行動の力が低く、対応に家族が困っていたりして福祉等のサービス利用が望ましい人もいます。そのような人に必要な適切な支援が受けられるようになるためには、手帳制度全般の見直しが必要だと思います。

今後の動向について

療育手帳の全国統一が可能かどうかの検討が行われた!

令和元年度の厚生労働省の障害者総合福祉事業において、『療育手帳の判定基準及び判定業務のあり方に関する調査研究』が行われました。令和2年3月に報告書がまとめられこちらから見ることができます。

この事業では、療育手帳の全国統一が可能かどうかについて検討するため、全国の児童相談所へのアンケート調査を行い、問題点や方向性について検討しています。

全国の児童相談所が回答!検討委員会も豪華メンバー

この事業では、児童相談所を対象にアンケートを行うことで、療育手帳の判定業務や制度への現場の意見をまとめています。しかも、各県の“中央”と名がつく児童相談所の全てを対象に行っています。そのため、データとして信頼できる貴重な調査であるといえます。

また、検討委員会のメンバーには、発達障害分野で有名な内山登紀夫先生や、ダウン症に関する著書も書かれている菅野敦先生など、名だたるメンバーで構成されています。また、厚生労働省の障害福祉部が事務局兼オブザーバーとして参加されています。

以上より、現在の療育手帳制度について、国も改善の必要性を大きく認識していて、力を入れて具体的に取り組もうとしている姿勢が感じられます。

現場の声はいかに

調査報告書から児童相談所(以下”児相”)の意見をまとめてみると

・療育手帳の判定業務の負担が大きい。虐待対応等の業務負担が大きい(回答の約50%)

・療育手帳の予約待機が6ヶ月に達している(25%)

児相の業務は多岐にわたることに加え、虐待対応という重要かつマンパワーが必要な業務を行っています。手帳判定業務の優先度が低いわけではなく、緊急性の高い他の業務を優先せざるを得ない状況にあるのだといえます。

・全国で基準が異なるため、転入ケースの判定が難しい時がある(35%)

・療育手帳の所持が特別支援学校(養護学校)の入学、高等部の受験要件になっており、手帳判定に該当しないケースからの苦情や不安の声が寄せられ、対応に苦慮している(22%)

療育手帳制度の問題点として前述した点について、児相も認識しているだけでなく、フォローの役割も担っていることが分かります。業務上大きな負担になっていると思いますので、制度上の改善は必要だと思います。

・IQ偏重の判定は、生活上の困難さの実態との齟齬が生じやすい(3%)

・日常生活能力の自立度と介護度など、適応行動の評価を行い総合的に判断している(24%)

IQだけでは実態が掴みきれないことを理解している回答は少ないですが、IQ以外に適応行動も評価していると回答した児相が全体の4分の1あります。しかし、統一的な指標がないことが課題に挙げられています。

全国統一について現場の思いは?

根幹となる、療育手帳の統一について児相の意見は

・全国一律の基準を策定することが望ましい(49%)

と約半数の児相が前向きな考えであるようです。

・移行期間や予算配置等が必要

・統一以前に取得していた人が引き続き所持可能となるような救済措置が必要

・発達障害は認めず、知的障害のみに手帳を交付している自治体があるため、自治体の裁量権をどの程度認定するのか検討が必要

他の半数が反対ということではなく(全体の割合が公開されていないため推測ですが)『統一は必要と考えるが、検討すべき課題が多い』との意見も多く見られました。

以上より、現場の声としては、『賛成』または『大きくは賛成であるが慎重に検討すべき課題が多くある』との意見が多く占めており、療育手帳の統一の方向性についてほぼ同意している、と考えられそうです。

検討委員会のまとめより

児相への調査から、検討委員会が方向性をまとめています。

調査結果からの考察

・IQの数値だけで測れない部分をきちんと評価する必要がある

・「療育手帳」というネーミングは時代に合わない

・一律に加減の年齢(取得できる最低の年齢)を設定するのは難しい

・IQは現時点では一旦判定基準に含めてよいが将来的には要検討

・更新のタイミングは様々な観点があり要検討

まとめとして

・基準の統一は申請者にとってメリットが大きく、統一する方向で進めることは賛成であるとの意見が多く得られた。

・児相の業務への影響は大きいため、負担を低減するための方策を取る必要がある

・移行期の混乱を避けるための方策も必要である

“現場の賛成が得られたと考え、統一に向けて進めていく”と読み取ることが可能なまとめになっています。

そして、“療育手帳”という制度的な名称の変更も視野に考えていること、IQを含まずに判定をしていく将来的なビジョンも検討していることがまとめられています。 最後のまとめでは、『医師の診断のみで判断することも必要ではないか』とも述べられています。

以上から、今後、大きな動きがあるかもしれませんね。ますます、動向をチェックする必要がありそうです。

まとめ 〜療育手帳統一も重要だけど〜

このような調査研究が厚生労働省の事業として行われ、名だたるメンバーで構成され、現場を対象に大規模な調査が行われたということは、今後、制度の変更も十分に考えられるのではないかと思います。

しかし、手帳制度の統一も重要ですが、一番大切なのは”必要な人に必要な支援が行き届くこと”ではないかと思います。手帳を持っていないと支援を受けられない、という今の支援の仕組みにも問題があると思います。

療育手帳を所持していないと特別支援学校に入学できないとか、障害者控除は手帳を所持していないと受けられないとか、手帳所持の有無がその子の実態や家族の実情を全て表しているかのような仕組みになっているのはおかしいと感じています。

そのため、療育手帳の統一を進めていくためには、手帳制度としての支援と、全体的な支援の再検討が必要であると考えます。

あくまで個人的な意見になりますので、他にも色々な考え方があると思います。そのような意見にも耳を傾けながら、今後も手帳制度の統一について考えつつ、動向を見ていきたいと思います。

長文になってしまいましたが、最後までご覧いただきありがとうございました。

この記事を最後までご覧いただきありがとうございます。

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