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“指差し”を正しく理解すれば子どもの社会性は伸びる!【後編:指差しの重要性と関わりへの活かし方】

ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。

前回の記事では、前編として、指差しの基礎的な理解について解説しました。

"指差し"を正しく理解すれば子どもの社会性は伸びる!【前編:指差しの基礎を理解する】ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。 1歳6ヶ月になり、ダウン症おーくんが指差しをするようになったことを先日の記事で紹...

今回の後編は、最近の研究で分かったことを踏まえながら、指差しがなぜ重要なのか?について解説していきます。さらに、指差しについての理解を普段の関わりにどのように活かすことができるか?について具体的な方法を解説していきます。

指差しが重要なワケ

そもそも、発達の観点から指差しが重要とされているのは何故なのでしょうか?

それは、指差しが言語能力、コミュニケーション能力、共感性といった社会的な力を伸ばすために欠かせない動作だからです。

そして、関わる大人が、指差しを理解し、適切な対応をとることでそれらの能力を伸ばせることが最近の研究成果から分かってきています。その点も整理しながら、指差しの重要性について解説していきます。

物の名前の獲得につながる

指差しは「ことばの前のことば」と言われることがあります。ことばを発していなくても、ことばと同様なコミュニケーションの手段であることに加えて、ことばの獲得につながる重要な土台であることから、そのように言われています。

そのことを裏付ける心理学の研究結果を大きく3つにまとめてみました。

  1. 子どもと大人が同じ対象に注意を向けた上で、大人がその対象に対してことばで説明してあげると、対象の名前を覚えやすくなる
  2. 子どもが指差しをすることで、大人のことばでの反応が引き出されやすくなる。そして、子どもは、指差し直後の大人のことばの内容を、それ以外のタイミングで聞かれた大人のことばよりもよく記憶する
  3. 16ヶ月になると、自分の知らない玩具の名称を、大人に「尋ねる」ために指差しをするようになり、大人が指差しによく反応してくれると知らないものへの指差しが増える。つまり、指差しに大人が反応してあげることで、知らないものをたくさん覚えるようになっていく

以上の研究結果から、子どもが指差ししたときには、大人が積極的にことばをかけてあげることで語彙や表現の力を伸ばしていくことができると考えられます。

コミュニケーション力を伸ばすことにつながる

子どもは、ことばが話せない段階でもコミュニケーションの多くを学んでいきます。

指差しもそのひとつで、動作自体は単純ですが、気持ち、意思、要求など、様々な自己表現をするための手段として使われることで、コミュニケーションの力がついていきます。

最近の研究では、指差しが単なる自己表現にとどまらないことが指摘されています。

1歳6ヶ月の子どもは、指差しを自分の要求を伝えるだけでなく、大人の知らない情報を伝えるために指差しする可能性を指摘している研究も出てきています。例えば。大人が床に落とした持ち物を探しているときに、持ち物の位置を分かっている子どもは、その場所を指差しして”教えよう”とします。このことから、1歳6ヶ月の子どもでも、指差しを”教える”というコミュニケーション手段として用いることが分かっています。

指差しを通じて、自分を表現したり教えたりするとことは、他者から受け入れられたり認められたりすることで頻度や精度が増えていきます。つまり、指差し自体がコミュニケーションの要素を多分に含んでおり、その中で、子どもは、どのような状況でどのような伝え方をすると大人は答えてくれるのかを学んでいます。

以上より、指差しを使用することは、自己表現の力や他者とのコミュニケーション力を育てることになるのです

感情を育むことにつながる

指差しをすることが大人の反応を引き出すことにつながり、その大人の反応を見て子どもは感情を理解していきます。

子どもが指差ししたとき、大人が笑顔で応えると、指差しした対象は安全な物であることを学び、逆に大人が強張った表情をすれば危険な物だということを学びます。そのようにして、外の世界にある安心や危険を学んでいきます。

さらに子どもは感情の幅を広げていきます。楽しい・面白いものを発見して、指差しをして大人に知らせます。「あれは○○だね、面白いね」と大人がにこやかな表情で『面白い』と返してあげることで、同じ気持ちを共感してもらえた喜びに加えて『この気持ちは良い(肯定的な)気持ちで、面白いって感じなんだ』と感情の性質を学んでいきます。まだことばは分からないため、最初は、言語的に理解していくというよりも感覚的に理解していきながら、次第に「面白い」と言うことばの表現と結びついていきます。

大人が共感を示してあげる事で、大人の反応を見て子どもは、喜びや感動や嬉しさといった感情をしっかりと感じることができます。そのような経験を積み重ねていくことで、感情を育んでいきます。これは、ポジティブな感情だけでなくネガティブな感情も同様です。

まとめ:指差しによって社会性が向上する

指差しは、ことばの習得、コミュニケーションの向上、感情の育ちにとても重要な役割を果たします。そして、これらの力は全て人と上手に関わる力に集約されていきます。つまり、社会性の土台になるのです。

子どもの指差し→適切な大人の反応→大人の反応を子どもが受け取る、という流れの中で、子どもは社会性を伸ばしていくことになるのです。

“指差し”について、親の対応として重要なこと

指差しを通して、子どもの社会性を伸ばすためには、大人が適切な対応をしてあげる必要があります。そこで、適切な大人の反応とは、どのように対応することが望ましいのか?についてまとめてみます。

乳幼児からの関わりで意識すること

指差しを促すためには、赤ちゃんの時からの関わりが重要になります。それは、大人が赤ちゃんの顔をしっかり覗きこみ、目線と目線を合わせるように意識して関わることです。

生後6ヶ月頃には、大人の視線を追従するようになります。大人の視線を追従することで、外の世界があることや、外の世界には色々な物(や人)があることに気づいていきます。そして、次第に、自分と大人と何か(物や人など)の3者での関係を意識することができるようになっていきます。その意識があることで、大人に何かを伝える指差しが出てきます。つまり、指差しの原点は大人と視線を合わせることなのです。

これは、多くの大人が赤ちゃんと関わるときは自然としていることが多いと思います。視線が合うと、赤ちゃんがニコニコしたり、大人が声をかけたりすることは多いと思います。ただ、多くの大人は意識いなくても自然とできていますが、意識して関わることが重要になります。大人が意識して関わることで、視線が会う回数が増えたり、赤ちゃんが大人を注目する回数が増える、ということが言われています。

目線が合うことに慣れてきたら、”見比べる”ことを遊びの中で取り入れていくのも役立ちます。玩具を2つ提示して、「○○だよー」「こっちは△△だよー」と交互に注目するように促すのも、3者関係の意識づくりにつながります。お母さん、お父さんが並んで交互に声をかける、というのも良いかもしれません。

指差しへの注目を促す

大人と玩具や物などを使って遊べるようになってきたら、積極的に、大人が指差しを使っていきます。「これ○○だねー」といいながら、子どもの目の前にある対象について指差ししながらコメントをしていくようにします。

最初は、指差しする対象は、子どもの視野の中に置くようにします。そこから徐々に、視野の外側にある対象を指差して注目をするように促していきます。

子どもが指差しを使うようになったら意識すること

子どもが指差しをするようになったら、その都度、できる限り、大人が反応してあげることが重要です。

指差ししている対象が不明確な場合でも、「どれどれ、何か面白いものがあったかな〜?」と一緒に同じ対象を注目しようとしていることをきちんと伝えていきます。

対象が明確な場合は、「あれは○○だね」と対象の名前をことばで伝えていきます。大人側も慣れてきたら、「○○があるね、かっこいいね」とか「○○があるね、大きいね」と、感情表現や属性を示すことばを加えて伝えていくようにします。

意思表示や要求表現として指差しを使うようになった場合は、「あそこまで行きたいんだね?」「あれが怖いんだんね?」と子どもが言いたいと思われることばを大人が伝えてあげるようにします。このときのポイントは、問いかける形で聞いてあげることです。双方向性のあるやりとりや、意思や要求について確認する経験になるためです。

指差しを通して、子どもは何かを伝えてくれているのですが、子ども自身もしっかり気づいているわけではありません。「もう!何なの!」と大人が思うことも当然出てきますが、毎回正確に分かってあげることができなくても大丈夫です。分かってあげようとしている姿勢が伝わることが大切です。

まとめ

指差しは子どもの社会性を伸ばす。主な力は以下の3つである。

  1. ことばの獲得
  2. コミュニケーションの向上
  3. 感情の発達

これらを伸ばすには、適切な大人の関わりが欠かせない。具体的には

  • 乳幼児期より目線を合わせて関わる
  • 大人が積極的に指差しを使う
  • 指差しにはことばで具体的にフィードバックを行う

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

参考文献

  • 発達を学ぶ小さな本 白石正久 クリエイツかもがわ
  • 育ちのきほん 神田英雄 ひとなる書房
  • 社会的認知の発達科学(発達科学ハンドブック9巻) 日本発達心理学会 新曜社
この記事を最後までご覧いただきありがとうございます。

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