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特児、変わります!! 〜特別児童手当の最新動向について〜

※今回の記事と同様な内容をより詳しく解説した動画をYouTubeにアップしていますので、そちらも参考にしてみてください。

ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。

障害のある子の支援に関して、重要な代表的な制度として、「障害者手帳制度」「特別児童扶養手当制度」があります。

この2つの制度に共通しているのは、現行制度には大きな問題があり改正の必要性が指摘されている点です。

特に、特別児童扶養手当制度(通称:特児制度)については、その問題点について、以下の記事で詳しく扱ってきました。

【特別児童扶養手当】受給の地域格差はある? 〜都道府県ごとのデータを分析したら驚きの結果が!!〜ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。 特別児童扶養手当制度ですが、判定基準が明確でないことに加えて、都道府県ごとに判定...
特別児童扶養手当 地域差があることが「確定」 改定への動きも出てきた!ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。 以前の記事で、特別児童扶養手当の受給について、各都道府県ごとにデータを算出し、自...

そして、最近になり、調査研究の詳しい結果や今後に向けての情報が出てきていて、

特児、変わります!!

とはっきり言えるような状況になってきましたので、その理由を解説していきたいと思います。

今現在、認定されずに困っている方や不満のある方(居住する自治体によっては不満を感じずにはいられない程、自治体によって認定されるかどうかが全く違います)にとっては、認定される可能性が出てきますのでとても重要な動きになっていますので、最後まで見ていただけると嬉しいです。

特児が変わる!と言える3つの理由

今後、特児制度が変わっていくと言える理由が3つあります。

それぞれについて詳しく解説していきます。

①国の研究チームの調査により、認定について自治体間で差があることが明らかになった

“特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害用)認定の実態調査”

と題して、厚生労働省が管轄する研究において、研究チームが全国の自治体からデータを集めて分析した調査研究が行われました。詳しい結果については、厚生労働科学研究成果データベースから詳細な調査・研究結果を見ることができます。

結論としては、「特児の認定には自治体間で差がある」ことが明らかになりました。

細かい分析によると、

  • 特児を申請する子の知能指数(IQ)や発達指数(DQ)において自治体間で差が見られた
  • 特児を認定された子の知能指数(IQ)や発達指数(DQ)において自治体間で差が見られた
  • いくつかの自治体は極端に却下数が多い。それは申請数が多いためではない。

つまり、そもそも特児を申請する子の状態像が自治体間で違うのと、認定された子の状態像も自治体間で差が見られたことがデータで示されました。また、却下数の大きな違いが生じているのは自治体間で判定の基準が大きく異なっていることが考えられる、ということも示されました。

国が管轄する研究で、自治体間で差があることをデータで明確に示されたため、今後このまま変わらないということはあり得ないと思います。研究の考察でも、認定業務の適正化を図っていくために、具体的な改訂を進めていくための研究を継続していくことが明言されています。

②研究チームのメンバーが凄すぎて、本気出している

①の研究を行い、今後も具体的な改訂を検討していくことになっている、研究チームですが、メンバーが豪華すぎて、本気で取り組んでいることが伺えます。

研究チームの代表が、本田秀夫先生で、日本の発達障害領域の第一人者と言って過言ではないくらい、発達障害の分野では知らない人はいない先生です。テレビや書籍、そしてYouTubeなどで目にしたことがあるかたも多いのではないでしょうか?

本田先生は、東京、神奈川、山梨、そして現在の長野で診療をされてきているだけでなく、全国を講演等で回られていますので、特児の自治体ごとの実情を把握されていると思います。ガチで変えていくならこの先生でしょ!と多くの方が指名すると思われる先生が、チームのトップで動いているため、改正への期待は大きく膨らみます。

そして、本田先生をはじめとして、研究チームのメンバーには、子どもの障害や精神的な問題に関するエキスパートの先生方が揃っています。発達障害はもちろんのこと、さまざまな精神疾患、強度行動障害などに加えて、虐待やトラウマといった現在の子どもたちを取り巻く問題に詳しいエキスパートである先生方です。

しかも、今後の調査研究を行うにあたって、児童青年の精神医学系の学会に所属する医師、約634名の協力を得て進めていくことになっています。本田先生をはじめ、研究チームの先生方の凄さが伺えますし、このメンバーで、この協力体制を作っていると考えると、特児制度、変わらないはずがない!と期待できます。

③改訂のための動きがすでに行われている

問題点が明確になり、取り組む研究チームのメンバーに妥協がない、となれば、あとは「具体的な改訂がどのように進んでいくか?」ですが、実は、改訂のために具体的な取り組みが既に行われています。

障害基礎年金の基準と整合性をとっていくことを念頭におきつつ、診断書の改訂が進められているのです。

特児の認定には、医師が書いた診断書をもとに各自治体の認定医が判定するのですが、現在の診断書は子どもの状態を把握するには不適切であると言われています。そのため、診断書の具体的な改訂案が示されました。

その診断書の改訂案のポイントをまとめると以下のようになっています。

  • 症状の経過を時系列で追えるようにした。
  • 合併症の記載を詳細に分かるようにした。
  • IQやDQの数値だけで判定されることがないよう、日常生活能力をしっかりと把握できるようにした。
  • 認定の可否に大きく影響を与えているにも関わらず、実態を明確に捉えられていない「要注意度」の項目を廃止し、変わりに、障害基礎年金と同様の形式にした。

以上が、診断書の形式変更のポイントですが、今までのIQやDQと要注意度を中心に行われていた判定から、IQやDQと言った能力だけでなく、障害に関わる症状や実際の日常生活の様子を明確に捉えていくことや、要注意度項目では捉えにくい子どもの実態を、より細かく正確にとらていくことが重視された形式の診断書になっていると思います。

その改訂された診断書ですが、まだそのまま使用することが決まっているわけではありません。2021年度に、634名の医師に協力をしてもらい診断書として有効に機能するかどうかの調査研究を行っています。その結果が、2022年のうちには報告されると思いますので、続報を待ちたいと思います!

まとめ

今回の記事では、特児制度が今後変わっていくと考えられる3つの理由について解説しました。

特児制度の問題点は今まで指摘されていましたが、全国的な傾向についてははっきりとわかっていませんでした。そこで、選りすぐりの専門家を集めた国の調査チームによって、多くの自治体のデータを分析する研究が行われ、その結果、自治体間で差があることが統計的に示され、改訂の必要性が浮き彫りになりました。その上で、改訂について具体的な検討が行われ、問題とされていた診断書の形式が、より子どもの実態を捉えた形へと変更する研究が進んでいます。

以上のことから、時間はかかるかもしれませんが、将来的には特児制度は大きく変わっていくのではないかと思われます。

しかし、「認定の基準に客観的なものがないことが自治体間の認定の差になっている」という現状についてはどうしていくのでしょうか?ここが大きな問題だと思います。

就職活動に例えてみると、改訂されるだろう診断書は、いわば、よく分かる履歴書のようなものです。面接官に自分のことがよく分かってもらえる良い履歴書だったとしても、面接官の判定基準がゴミだったら元も子もありません。現在の実態は、面接官の合格基準がガイドラインとして定められておらず、個々の面接官の感覚で合否が決められているようなものです。そのため、特児制度を変えていくには、判定のガイドラインを作成し、各自治体がそれに従って判定を行なえるようにしていくことが何よりも重要だと思います。

統一された客観的な基準をどのように定めていくのか?認定基準という大きな問題に対してどのような改善がされていくのか、今後の動きに注目していきたいと思います。

 

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