ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。
自分の子どもは発達障がいなんじゃないか?
お子さんの気になる様子から発達障がいがあるのではないか気になった親御さんは少なくないと思います。
特に、
自閉スペクトラム症(ASD)
ではないかを気にする親御さんは多いと思います。
自閉スペクトラム症(ASD)とは、昔で言うところの自閉症やアスペルガー症候群などを総称した診断名です。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
お子さんの様子が気になって、ネットで検索する方がほとんどだと思いますが、ネットには多様な情報があり、「当てはまるものとそうでないものがあるけど、どれが本当なの?」となることがあります。
それは、医学的にはASDの診断基準は明確に定まっていても、細かい症状はかなり多様であるためです。
例えば、『目が合わない』という症状は多くのASDの子に当てはまります。この特徴を示すこの割合はかなり多いですが、ASDのすべての子が『目が合わない』わけではありません。
また、他人に関心が全くない子もいれば、そこまでではなくても一般的な発達と比べると関心が薄い子もいますし、他人への関心はそこそこあるけれど距離感が近すぎるタイプの子もいます。これらはすべて”社会性の弱さ”という診断基準を満たします。
そんな感じで、ASDかどうかを判断するのは難しいのが実情です。
そこで今回は、ASDかどうかを判断するために役立つチェックリストを紹介したいと思います。
ここで、『ASDかどうかを判断するために役立つ』と記載したのには意味があります。今回紹介するチェックリストの使用には注意点がいくつかありますので、最後まで記事をお読みいただければと思います。
自閉スペクトラム症のチェックリスト
そのチェックリストとは、
M-CHAT(Modified Checklist for Autism Toddlers)
です。「えむちゃっと」と呼びます。
元々、海外で作成されたもので日本版が普及しています。その著作権は国立精神神経センターにあるため転載できませんが、ググっていただければ厚生労働省の研究や某都道府県のページなどから閲覧できます。
項目に回答するために子どもの様子のどんなところを細かく見れば良いのかも、マニュアル化されており、それもネット上で見ることができます。
このM-CHATの有効性はいろいろな研究で確認されていて国際的に認められています。日本においても同様で、乳幼児健診や発達支援の現場で使用されていています。
対象となる子どもの年齢として、16ヶ月〜30ヶ月の幼児を対象としています。しかし、3歳児健診でもよく使われていますので、3歳代のお子さんには実施可能と考えて良いと思います。
チェックの仕方
親が全23項目の質問に「はい」「いいえ」で回答していきます。
これらの項目はASDの特性に代表される様子や行動を聞いているため、特徴に当てはまる項目の数を集計していきます。
「はい」「いいえ」のどちらがASD特徴に当てはまるのか?について集計の際には注意が必要です。
- 「○○(ASDの特徴)が見られますか?」→この場合は「はい」が特徴があるということなので当てはまる項目としてカウントする
- 「○○(一般的に見られる重要な発達)が見られますか?→この場合「いいえ」が特徴に当てはまる項目数として集計する
というように「はい」「いいえ」のどちらを特徴に当てはまる項目としてカウントするかが項目によって異なりますので注意が必要です。
ググると細かい採点の仕方も出てきますので、そちらを参考にしてください。
ASD特徴に当てはまる項目の数が
- 0〜2個であればASDの可能性は低い。
- 3〜6個であればASDの可能性があるため、一定の期間(3ヶ月等)をおいてもう一度チェックリストを実施する。それでも3点を超える場合は、今後のフォローが必要で、医療機関等の専門機関での詳細は評価を行うことが望ましい。
- 7個〜であればASDの可能性は高いため、直ちにフォローが必要で、医療機関等の専門機関での詳細な評価を行うことが望ましい。
という感じで判断していきます。
また、項目2、7、9、13、14、15の6項目は、ASDの特徴の中心的な症状を聞いている重要項目とされています。この6項目中2項目以上が当てはまる場合は、”直ちにフォローが必要で、医療機関等の専門機関での詳細な評価を行うことが望ましい”と判定します。
使用上の注意点 ※必読
このM-CHATを使用には大きな注意点があります。
それはASDかどうかの診断するためのツールではないということです。
あくまで、ASDの子どもたちを選別する(スクリーニングする)ためのものです。
よって、M-CHATはあくまでASDの子どもを早期発見するためのツールでしかなく、点数が高かったとしても、医療機関などの専門機関によるきちんとした評価が必要になるということです。
その理由として、アメリカの研究では、M-CHATでASDのリスクがあると判定された子どもの54%は後にASDと診断されましたが、46%はASDと確定しなかったという結果が出ています。
Chlebowski, C. et al. Large-scale use of the modified checklist for autism in low-risk toddlers. Pediatrics, 131:1121-1127, 2013.
つまり、『ASDのリスクがある子はかなりの精度で拾い出すことができるけれど、ASDでない子もリスクがある子として拾い上げてしまう割合もそこそこある』ということです。
また、別の研究では、ASDの専門家外の医師や、親の判定と専門家の判定がズレることも指摘されています。
以上のことから、M-CHATを使用したとしても、ASDであるかどうかを明確にするには専門家によるきちんとした評価をする必要があります。
まとめ
僕が仕事上で面接する親御さんの多くは、発達障がいについてインターネットで調べている方がほとんどです。
しかし、間違った情報を信じている方も少なくありません。
そのため、判断のために信頼できるツールとして今回はM-CHATを紹介しました。
発達障がい業界では、このM-CHATはすごくメジャーなもので、一般に方でもチェックするだけなので使用しやすいと思います。
しかし、あくまでスクリーニング目的のものであって、明確な診断については、専門家の評価(聞き取り、行動観察、心理検査等)が必要ですので、その点はきちんと理解しておく必要があります。