うこうこまーく!
ダウン症おーくんの子育てブログ
1歳〜2歳

未満児での保育園入園に向けて動く! 〜ポイントは合理的配慮〜

ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。

来年度(2022年の4月)から、おーくんは未満児での保育園(認定こども園)入園を考えています。

そのため、入園のために色々と動いてきたのですが、

やはりそう簡単にはいかず…

メンタルが削られることもありましたが、障害のある人を取り巻く現状に関する知識があることで乗り切れたところも大きかったです。

今回は、入園に向けてどのような紆余曲折があったのかと、自治体等と交渉する際に知っておくと良い障害者差別解消法にも触れながら、経過とポイントについてまとめてみたいと思います。

保育園入園を考える理由

まず、おーくんが2歳での保育園への入園を考えた理由は2つあります。

  1. 妻の職場では育休延長が難しく、復帰か離職かの2択であるため
  2. 現在の発達段階としては、集団生活での刺激や経験が成長にプラスであると考えられるため

以上の理由と、主治医の先生から「保育園はおすすめ」との後押しもあり、入園の手続きを進めることになりました。

自治体の窓口で相談したら…

最初に、妻が、自治体の保育園を担当する課に相談に行きました。

窓口で担当したのが”保育園の園長をしていた”という(おそらく定年後再雇用)職員で、「1歳のダウン症の息子について、来年度、保育園に入園を考えているんですが」と相談したところ

「もう1年療育に通って、年少からの入園で良いんじゃないですか」と言われました。おーくんの発達の様子や、妻の仕事の都合などについて、聞かれることもなくズバッと言われました。

相談に行った妻が、”ダウン症”というだけで差別的な扱いを感じ、あまりの悲しさに「もう相談に行きたくない」となってしまいました。

障害者差別解消法の合理的配慮について

妻から話を聞いて、これは明らかな「合理的な配慮に欠ける差別である」と感じました。

障害のある人への差別については”障害者差別解消法”という法律の上で禁止されています。

障害者に対する不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供差別と規定、合成機関等及び事業者に対して、差別の解消に向けた具体的取組を求めるととともに…

内閣府 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針より

今回の職員の対応は”不当な差別的扱い”とまでは言えないかもしれません。しかし、合理的配慮には欠ける対応=差別であると考えられます。

合理的配慮とは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去についての必要な配慮を行うことと定義されています。

公的機関(自治体や公立の保育園や学校など)は合理的配慮を行うことが義務付けられていますので、自治体は合理的配慮を行う法的義務があります。合理的配慮を検討した上でどうしても難しい場合(「過重な負担」になる場合)は、具体的な説明を行い、代替措置の選択を含めて話し合い、柔軟に対応することとされています。

今回のおーくんの入園希望について考えてみると、

  • 入園を希望する子どもの権利として、現在の発達状況や家庭の状況について確認を行う必要がある(行政対応としての合理的配慮の提供)。
  • その上で障害の程度や状況に応じて、どのような配慮が必要か検討を行う(入園後の合理的配慮の検討)。
  • 加配の先生が必要であるが予算や人材確保の上で難しい(過重な負担になる)のであれば、その旨をきちんと説明し、入園以外の選択肢の検討を含めて相談や話し合いを行っていく。

といった対応がされるべきかと思われます。障害者差別解消法が施行されて5年以上経ちますが、合理的配慮が義務付けられている公的機関でも十分な理解と対応がなされていない現状があります(きちんと対応されている機関もたくさんあります)。

障害者差別解消法は2021年5月に改正法が可決され、3年以内に施行されることになります。この改正では、公的機関だけではなく、民間事業者でも合理的配慮を行うことが義務付けられます。

再度相談へ

僕が再度、相談しに行きました。窓口で対応したのは妻が相談した職員とは異なる男性職員でした。

そこで、以下の3点を伝えました。

  1. ダウン症についての説明とおーくんの現在の発達状況について
  2. 前回の窓口の対応は合理的配慮にも欠ける対応であること
  3. 加配の先生をつける優先度の設定は自治体としてはどうなっているか?ダウン症ではどうか?

加配の先生とは、担任以外で、個別または複数児に対して、サポートが必要な子どものためについてくれる先生のことです。自治体によってはダウン症には優先的に加配の先生をつけるようになっているところがあります。手厚い反面、予算がないことや人手がいないことで加配の先生がつけられないために入園を断られるケースがあります。そのために❸を確認しました。

対応した職員は制度や対応について詳しくは分かっていないようで「詳しい上司が不在のため、後日連絡します」とのことでした。

翌日、保育担当のトップである女性職員の方から電話連絡がきました。上記の説明を再度したところ、

  • 「(おーくんが居住する自治体では)未満児で加配の先生をつけた前例がない」
  • 「ダウン症だからではなく他の障害のある子についても同様で、前例はない」
  • 「障害のある子でも加配が必要なければ入園が可能。その加配をつつけるかどうかを見極めたいので、遊びの様子などを観察させていただく場面を設定させてほしい」

とのことで、その様子で入園の可否について判断するとの回答でした。

「差別的な扱いと感じ傷ついた」ことについては明確な謝罪はありませんでしたが、子どもの様子を見た上で検討していくために動いてくれることになりました。

いざ、観察へ

「色々聞かれたら…どうしよう」と不安と戦いながらも、妻が観察に連れて行ってくれました。姉が通っている保育園の未満児クラスにお邪魔して30分ほど遊ぶ様子を見てもらいました。初めての場所だったので心配していましたが、落ち着いて遊べていました。特に詳しく聞かれることはなかく、普通に雑談のような話で終わりました。

そして、12月に入り自治体より通知が届きました。

結果は…入園『内定』でした!!

しかも、当初難しいと言われていた姉が通っていた保育園に内定とのことで、嬉しさと驚きと安堵ともうよくわからない気持ちになりました。メンタルが削られる戦いにひと段落ついた安堵感が一番大きかったかもしれません。

社会情勢と対応のズレに感じる”怖さ”

おーくんは(個人的要因で)”たまたま”良かったわけですが、加配の先生をつける必要がある発達段階だったら入園できなかったこと、自閉症スペクトラムやADHDの特性のある子には加配の先生が必要なケースも多いのですが、そのような子は未満児で預けられないこと、を考えると現状の自治体の体制には疑問を感じる点もあります。

家庭環境が複雑であったり、養育環境が厳しい家庭もある中で、その家庭の子どもが何らかの障害がある場合、加配の先生をつけて保育園で見てもらうということで安全を確保する事例というのがないわけではありません。

そこを「前例がない」と言い切ってしまうことに”怖さ”を感じました。新しい枠組みが社会の中で認められているにもかかわらず「新しい枠組みを設けて対応することはしません」と宣言しているのと同じです。社会(家庭環境や子どもの様子も含めて)が多様化してきている中、「前例がない」という思考の危険性を慎重に考えていく必要があるのではないか、と感じます。

まとめ 〜合理的配慮の観点から〜

以上のような経過を通して、結果としては内定を得ることができました。

今回のおーくんの場合は、僕の仕事柄、障害のある人への合理的配慮に関する理解がある程度あったことで、「これはおかしい!しっかり訴えていくべき!」と判断できたことが大きかったと思います。最初の窓口の対応で心が折れてしまう人も多いのではないかと思います。

障害者差別解消法における合理的配慮は、理解するには結構難しい概念だと思います。しかし、障害のある子が社会の中で生活していくことを支えるためにはとても重要な概念ですので、少しでも知っておくことが重要かと思います。

最後に、合理的配慮の提供について、ポイントをまとめてみます。

  1. 公的機関は障害のある人への合理的配慮を提供するのは法的義務である
  2. 合理的配慮を提供できる程度については公的機関によって異なる現状がある
  3. 合理的配慮の提供について検討した結果、過重な負担になる等で提供が難しい場合は、その旨を説明し、相談や話し合いを行っていく必要がある

❷に関して補足しますと、未満児での入園については、“未満児に加配の先生をつけるかどうか”や、”障害のある子の保育を未満児から受け入れるかどうか”は自治体によって異なります。

僕が働いている自治体やその周辺では、ダウン症の未満児の子でも保育園の入園は可能です。加配の先生をつけて入園してる子もいますし、先生がつかなくても入園している子もいます。自治体の窓口でも丁寧に対応してくれるところが多い印象です。

逆に、おーくんが居住する自治体のように、加配の先生を必要とする状態であれば、個別での療育や専門的な集団療育を行うことの方が子どもの発達には適している、という意識が強い自治体もあります。その考え自体は間違っていないと思いますが、子どもの状態や保護者の考えを聞いた上で、検討し、話し合っていく姿勢が求められると思います。障害があるからといって決めつけたり排除したりせず、個々の状態に応じてできる限りの検討を行い相談や話し合いを行う、それが合理的配慮です。

保育園や幼稚園など、集団に入れることがその子の発達に良いのかどうかについてはお子さんの発達段階にもよります。そのため、発達の状況やどのような支援が望ましいかは専門家の意見も参考にしていくと良いかもしれません。”専門家の意見”は場合によっては重要視されることがあります(就学時の判断や特別支援の利用など)。おーくんの場合も、発達の様子について心理師視点で説明し、主治医からの意見も伝えることで、観察場面の設定につなげることができました。

「合理的配慮は重要です!」といいながらも、僕自身、きちんと理解できているか?と問われると自信があるとははっきりとは言えません。そのため、今後も継続して学んでいきたいと思いますし、役に立つ情報や考え方があれば記事にまとめていきたいと思います。

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