ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。
このブログでは、ダウン症についてのお勧めの書籍についていくつか紹介してきました。
ダウン症の基本について理解するための本は今までも何冊か出ています。
そのような本には、よく
「ダウン症の子は〇〇である」「ダウン症の子は△△な子が多い」
といった記載が多く見られます。
しかし、その根拠となる研究や引用元が示されていないことが少なくありません。
その場合、「ダウン症の〇〇である」と言う記載は一見もっともらしい印象を受けますが、
著者の印象なのか?データを元にした研究で裏付けられた客観的な事実なのか?
が分からないのです。
実際、「ダウン症の子は人懐っこい」「愛嬌がある」「明るくて穏やか」と言う事は非常に多く言われています。しかし、近年の様々な研究から、ダウン症の人にもいろいろな性格の人がいて個人差があることが指摘されるようになり、「ダウン症の人は〇〇という性格である」と固定的に捉えるのは問題であると認識されるようになっています。
そのような誤解はダウン症の性格に限った話ではありません。ダウン症の人の情報処理能力や発達障がいとの合併率など、多くの方が誤解していたり、知られていない事実がたくさんあります。
以上のような、ダウン症についてエビデンスに基づいた事実についてまとめた本はありませんでした。
ですが、ついにその役割を果たしてくれる本が出版されました!
それが、菊池哲平先生著書の
「ダウン症理解の教科書 〜家庭・学校・福祉をつなぐ〜」です。
菊池先生は、熊本大学大学院教授で心理学博士、臨床心理士、特別支援教育スーパーバイザーの資格をお持ちです。ダウン症について専門的に研究をされており、日本ダウン症学会理事を務めておられます。
前述したダウン症についての間違った偏見についても、この著書の中で様々な研究を紹介されながら詳しくわかりやすく述べられています。
ダウン症の子を持つ親として、またダウン症の人を支援する関係者としても、客観的な事実に基づいたダウン症についての知識を知る事はとても役に立ちます。
僕自身も、おーくんがなかなか言葉が出なかったので、インターネットやSNSで検索すると、1歳半には単語をたくさん喋っている子がいたり、2歳には2語文が話せてたりする子もいました。
とても不安になったり、焦ったりしました。
しかし、インターネットやSNSの情報からは勇気や元気をもらうこともあれば、不安や焦りをより強めてしまうこともあります。
そのような時こそ、ダウン症に関するエビデンスに基づいた客観的な情報が役に立ちます。
あるダウン症の子を持つ親御さんからDMをいただきました。
「うちの子は1歳半になりますが歩行ができません。やっとハイハイをするようになったくらいです。とても心配です」
という内容でした。
ダウン症の子の歩行開始の平均は24ヶ月から28ヶ月と言うデータがあります。運動発達に関する専門の書籍でも2歳半から3歳位になることが多いと書いてあります。そしてハイハイについては平均的には1歳半ごろに獲得する子が多いといわれています。
とすると、この親御さんのお子さんは、ダウン症の子の発達段階としては至って平均的であるといえます。ハイハイが獲得できているので、自分で移動して周りの環境に探索的に関わる土台はできています。そのため、興味関心を上手に用いながら遊びを通して自然と運動動作を促せるような関わりや意識をしていくだけでも今後の発達が期待できる段階といえます。(当然その子の発達全体を見ないと断定はできませんが)。
といったように、客観的な事実を知っておくことで、「その子にとって何ができていて、何が必要か」について事実に基づいて整理することができるようになるのです。
発達に遅れがある子にとって、その子の発達の現在地を知り、次の第一歩を知ることが発達を促していくにはとても重要です。
そして、ダウン症の子にとって特有な傾向や力とは異なる強みがあるとしたら、それは「ダウン症のその子の力」というより、「その子自身の力」といえます。
ダウン症の基本を知ることは、その子のダウン症に関わる部分だけではなく、その子本来の持ち味や強みを知ることにもつながるのです。
このブログでは、開設当初から、できるだけエビデンスに基づいた情報を発信することを大切にしてきました。
「少しでも誰かの役に立てば」という思いで続けてきましたが、この本を読んで正直こう思いました。
「まずはこの1冊を読めば、ダウン症の基本を学ぶうえで間違いない。」
そう思えるくらい、自信を持っておすすめできる本です。
やはり長年ダウン症を研究されてきた大学の先生の知見は、本当にすごいと感じました。
菊池先生への最大限のリスペクトを持ちながら、僕自身、ダウン症の子を育てる親だからこそ書ける視点も大切にして、これからもエビデンスと実体験の両方を大事にしながらブログを更新していきたいと思います。
気になった方は、『ダウン症理解の教科書』をぜひ手に取ってみてください。きっと、ダウン症への理解がより深まり、お子さんを見る視点の精度があがるはずです。



