うこうこまーく!
ダウン症おーくんの子育てブログ
ダウン症関連

○○を意識するだけでダウン症の人への説明や指示が伝わりやすくなる!【記憶の特徴を理解した関わり方】

ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。

ダウン症をはじめとした、知的障がいのある人(子どもも含め)と関わるときに、説明や指示がうまく伝わらなかった経験がある人は多いと思います。

それは、説明や指示が理解することが難しいという理解力の要因と、説明や指示が理解できてもその内容を記憶しておくことが難しいという記憶力の要因の2つが影響しています。

理解力については、「分かりやすく、簡潔に、具体的に」伝えるようにすることは支援の基本として知っている人は多いと思います。

しかし、知的障がいの人の記憶の特徴について理解し、配慮した対応方法について知っている人は少ないと思います。

そこで、今回は、知的障がいの中でもダウン症の人の記憶の特徴について整理をし、ダウン症の人が理解しやすく記憶しやすい具体的な対応の方法についてまとめていきます。

知的障がいの人はことばの情報より○の方が記憶に残りやすい!

2004年に行われた研究によると、知的障がいのある人は、単語よりも絵の方が記憶に残りやすいことがわかっています(梅谷 (2004). 知的障害児の認知と学習ー特性理解と援助ー 田研出版)

勝二博亮 知的障害児の心理・生理・病理 北大路書房 p86より引用

グラフを見ると、健常の人は単語でも絵でも大きく記憶の成績は変わりないですが、知的障がいの人は単語よりも絵の方が大きく記憶の成績が良いことが分かります。正再生率とは覚えたものを思い出して正しく回答できた割合を示していますが、絵の方が覚えた直後に思い出すのも、時間が経ってから思い出すのもどちらも成績が良いことが分かります。

この結果について、専門書では以下のような解説がされています。

知的障がい者は、文字のような抽象的刺激よりも、具体的でイメージ化しやすい絵刺激を用いる方が短期記憶として保持されやすい可能性が推察される。

勝二博亮 知的障害児の心理・生理・病理 北大路書房より、一部改変

以上のことから、知的障がいの人に説明や指示をするときには、ことばよりも絵や写真などの視覚情報を活用する方が記憶に残りやすいといえます。

ダウン症の人は耳からの記憶が苦手である

1999年に行われた海外の研究では、純粋な知的障がいのみの人とダウン症による知的障がいの人とでは、記憶のアンバランスがあることが指摘されています(Lifshiz et al. (2016). Working memory studies among individuals with intellectual disability:An integrative research review. Research in Developmental Disabilities, 59, 147-165)。

アンバランスとは具体的には、ダウン症の人は、耳から聞いた情報をその順番通りに正しく記憶して再生する(覚えたことを思い出して言う)力が弱いことが指摘されています。

この耳からの記憶が弱い人は、一度にたくさんのことを言われたことを正しく理解したり、記憶することが難しい特徴があります。また、耳から聞いた覚えたたとしても、時間が経過したり、注意が他のことに移ったりすると、覚えた情報を忘れてしまうことが起こりやすくなります。

聴覚より視覚を活用するのがポイント!

これまで紹介した2つの研究をまとめると以下のようになります。

  • 知的障がいの人は単語(文字)よりも絵の方が記憶しやすく、思い出しやすい。
  • ダウン症の人は、耳から聞いたことを覚えることが苦手である。

よって、ダウン症の人に説明や指示をしたり、情報を伝える際には以下のような点を意識すると良いです。

  • 一度にたくさんの情報を伝えずに、一度に一つの説明や指示にする。
  • ことばだけで伝えるのではなく、絵・写真・動画などの視覚情報を活用する。
  • 伝えることをメモやホワイトボード等に書いておくことで、忘れても視覚的に確認できる。絵やイラストを一緒に描いておくと、記憶しやすくなり、思い出しやすくもなる。

ちなみに、説明や指示をするときだけでなく、会話をするときに紙に書きながら話をするのもオススメです。どのような話題を展開してい流のか、重要なポイントは何か、とったことが視覚的に確認でき、会話をスムーズにする効果があります。

まとめ

ということで、ダウン症の人の記憶の特徴と対応の方法についてまとめてきました。

タイトルの○○がちょっと分かりにくかったかも知れませんが、「視覚」が入ります。

今回の記事では、記憶をテーマに扱いましたが、理解や思考、反応の仕方の特徴をデータで分析すると色々な役立つ情報が得られることがあります。このような研究って、心理学の分野の研究なんですよね。心理学と聞くと「その人の心を読めるようになる」と思われることが多いですが、データに基づいた科学的な分野なんです。

今後も、知的障がいや発達障害、そしてダウン症に関する役立つ知見について発信していきたいと思います。興味や関心のある方は、気が向いたときにでも「うこうこまーく」を除いていただけたら嬉しいです。

 

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