ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。
今回は、感覚遊びの代表といわれる砂遊びについてまとめてみます。
感覚遊びについては以前の記事でまとめてありますのでそちらも参考にしてみてください。
砂遊びは、感覚遊びとしてだけでなく、子どもの遊び全体の発達に関連してきます。砂遊びは、お子さんの遊びの発達段階によって、遊び方が大きく違ってきます。そのことが分かると、お子さんの発達段階に合わせた遊びを一緒に展開していくことができるようになります(=発達を促すことになる)。そのような観点から解説していきますので、目を通していただけたら幸いです。
最後には、ダウン症おーくんが本格的に砂遊びデビューした様子もまとめました。そちらも覗いてもらえると嬉しいです!
砂遊びにはたくさんの成長の要素が詰まっている
砂遊びは子どもの遊びとしてはメジャーな遊びのひとつです。ほとんどの保育園や幼稚園には砂場が設置されていたり、日常的にも公園などで触れる機会が多いと思います。砂場の起源はドイツで、そこからアメリカ→日本へと普及し、教育的な意味が研究されるにつれて急速に広がっていったようです。
つまり、砂遊びは「遊びとして面白い!」と広がったのではなく、幼児「教育」の中で、子どもの自発性や興味を大切にする保育が模索される中で広がっていったのです(参考:箕輪潤子 2011 砂場遊びに関する研究動向と今後の展望 川村学園女子大学研究紀要 第22巻 第1号 197-204 より)。
幼児教育では、子どもの発達を促すことが大きな教育的な目標となっていることからも、砂遊びには子どもの発達を促す要素がたくさん含まれているといえます。
そのような砂遊びの発達的要素について書かれた論文から、分かりやすくまとめられた図を引用します。
笠間浩幸 2014 砂遊びに見る子どもの育ち 子どもと発育発達 Vol.11 No.4 より
こちらを発達のカテゴリーごとに分類してみると以下のようになります。
体の発達 | 五感、粗大運動、手の使い方 |
心の発達 | 感受性、安心感、好奇心、達成感、自己肯定感 |
認識の発達 | ことばの力、理解力、思考力、想像力、集中力 |
人との関わりの発達 | コミュニケーション、協力、共感 |
という感じになり、砂遊びは、子どもの発達において重要とされる要素はほぼ含まれているといっても過言ではありません。砂遊びは、総合的な発達を促す遊びであるといえます。
砂遊びにみる遊びの発達段階について
お座りができるようなり、手を伸ばして色々な物を掴むことができるくらいから、砂に触れる機会がでてきます。最初は、砂の感触に触れ、その感触を確かめるような感覚遊びとして砂遊びの入り口に立つことになります。
そして、砂遊びは感覚遊びから徐々に、子どもの発達段階に応じた遊び方に変化をしていきます。
子どもの遊びの発達段階と、各段階に対応する砂遊びでの具体的な行動についてまとめたのが以下の表になります。
発達段階 | 砂遊びでの行動 | 発達的視点 |
①感覚遊び | 触れる | 視覚と触覚 |
②道具を使う遊び | 物を持つ、すくう、入れる | 手先の操作、物の使い方の理解 |
③操作的な遊び | 山を作る、水と混ぜる | 物そのもの(性質等)の理解、認識力 |
④見立て遊び | 砂を何かに見立てる | 想像力、創造力 |
⑤ごっこ遊び | 役割分担してやりとりを行う | 社会性、コミュニケーション |
子どもの遊びは①の感覚遊びから成長とともに、②→③…→⑤ごっこ遊びと変化していきます。
②と③は共に道具を使っていますが、③は目的のために道具を手段として使うこと、目的のために試行錯誤することが、②の段階と大きく違ってきます。「落とし穴を作る!」「水をここまで流したい」と言ったように、目的が明確なことがほとんどです。そのような遊び方を通して「砂は力を入れると硬くなるけどすぐ崩れちゃう(砂という物の性質を知る)けど、もっと固くするにはどうしたらいいかな?水と混ぜてみよう(試行錯誤する)」と物のあり方を学ぶとともに、理解力や思考力を使い、向上させていきます。
そして、④の段階になると、現実的な物だけでなくイメージを遊びに加えていくようになります。砂を四角に固めて「ここは僕の家で、あっちがおばあちゃんの家!」と家に見立ててみたり、砂や石をお皿にのせて「今日のご飯はカレーだよ!」とご飯に見立ててみたりします。この段階の遊びを通して想像力や想像力が向上していきます。
さらに、今までの土台に、コミュニケーションの力がのることで、⑤ごっこ遊びに繋がっていきます。仮面ライダーごっこやおままごとなど、イメージ上の役割をお互いに共有し合うことで成立する遊びです。そして、やりとりを通してその共有を確認したり、お互いに変化させていくというコミュニケーションの要素を多分に含んだ遊びでもあるのです。
このように「遊び」には様々な発達の段階がありますが、どの段階においても砂遊びは役に立つ”万能な遊び”なのです。
子どもの遊びの発達を知り、活かす
以上のような遊びの発達を知っておくことで、その子の発達に合わせた効果的な関わり方が見えてきます。
砂いじりが中心の場合は、①感覚遊びが中心ですので、いろんな砂の感触を触ってみることを一緒に楽しむことが良いことが分かります。物を道具として使うことができるようになってきているお子さんであれば、②道具を使う遊びの段階ですので、スコップや砂かきなどの道具をいろいろと使ってみると良いことが分かります。
遊びの発達を促しながら発達段階を進めていくためには
- 現在の遊びの発達段階に合わせて遊びこむ
- 遊びに幅が出てきたら、次の段階の遊びに誘導してみる
- 少しずつ次の段階の遊びの割合を増やしていく
といったステップで関わっていきます。
まずは、現在の発達段階の遊びを徹底的に遊びこむことが重要です。色々な触り方や感触を経験する、色々な道具を使ってみる、など遊びの幅を広げながら遊びこんでいきます。
幅が広がってきたら、次の段階の遊びに誘ってみます。子どもが乗ってきたらそのまま遊びを継続して発展させていきます。乗ってこなかったら大人だけで少し続けてみます。途中で興味を持ってあそびに乗ってくることもあります。しかし、もしそれでも乗ってこなかったら、次の段階の遊びは一時中断して、元の遊びの段階に戻ります。そのような関わりを繰り返していくことが、子どもにとって適切なタイミングで次の段階に進めるサポートになります。
全ての段階で共通する関わり方のポイントについてもまとめておきます。
進めるよりも遊びの幅を広げることを重視する
次の段階に誘導する際は、大人が手本を示してみること
焦らず無理に引っ張らずに子どもの自主性を尊重すること
そして何より、関わる大人も楽しむこと!
このような関わりを少しでも意識できると、子どもの発達のための力を引き出していくことができます。
おーくん、砂遊びデビュー!
砂に触れたりする機会はちょくちょくあったのですが、本格的な砂遊びをしたことがなかったおーくん。先日、砂遊びデビューをしてきました!
思っていた以上に集中して遊んでいました。水を使って泥の感触を楽しむこともできて大満足!
触って掴んでを繰り返す感触遊びが中心のため、砂や泥が至る所につきますので砂遊び用のプレイウェアを買って大正解でした!
そして、砂遊びをやってみて大きな発見がありました。それは、砂遊び中に「カリメロの口」が頻繁にみられたのです!
おーくんにとって、砂遊びは、興味関心があって主体的に取り組める遊びであるといえそうです。これから砂遊びをたくさんやっていくぞー!!
「カリメロの口って何?」という方は、こちらの記事にまとめてあります。
今のおーくんにとっては①感触遊びとして砂遊びをしています。固めたり砂や、水を混ぜた砂、粒の異なる砂、などを触って感触の体験の幅を広げていきつつ、②道具を使う遊びにもチャレンジしていきたいと思います。
まとめ
砂遊びは、発達において重要な要素の向上に役立ち、かつ、遊びの発達段階のどの段階においても効果的な遊びを提供する遊びといえます。
食べ物に例えると、必要な栄養素がバランス良く含まれていて、どの年代の人にも愛され、賞味期限が長い!みたいな感じでしょうか。
今回は、遊びの発達段階についても解説をしました。遊びの発達段階については、砂遊び以外の遊びでも同じ視点で考えることができます。砂の感触が苦手なお子さんもいますので、砂遊びに限らず他の遊びでも同様な視点で関わることは十分可能です。
お子さんの遊びの様子の観察や、関わりの中で少しでも参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。