ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。
ダウン症学会のHPの”新型コロナ関連情報”が2021年5月27日に更新され、「ダウン症と新型コロナウイルスワクチン」という内容の情報が公開されています。
その内容の中で、ダウン症とコロナウイルスとの関連について2つの論文の研究結果について説明されていますが…
2つとも、当ブログで以前に解説していたものでした!
どちらもかなり大規模な研究で、ダウン症の人がコロナウイルスに感染した際の症状の出方や、重症化しやすい要因などについての研究結果が論じられています。
論文1のイギリスのコホート研究については↓
論文2のT21RSという世界的なダウン症研究の専門組織が行なった研究は↓
ダウン症学会の説明には書かれていない、より詳しい研究結果や、結果を解釈する上で注意する点などについても分かりやすくまとめていますので、興味のある方や詳しく知りたい方は読んでみてください。
ただし、正確に理解するうえで一点だけ注意する必要があります。
2つの論文が”現状”に当てはまるかには注意が必要
論文1のイギリスのデータは2020年1月〜6月のもので、論文2の各国のデータは2020年4月〜10月のデータになります。
現在、猛威を奮っている様々な変異株ですが、最初に注目されたのがイギリスのアルファ株です。イギリスのケントで2020年9月20日に収集されたサンプルより、2020年12月にアルファ株が検出されました。その後、イギリスは12月中旬から1月中旬にかけて感染が爆発的に広がりました。
イギリスの変異株の感染拡大から、日本でも『変異株』というキーワードを知るようになったのは12月下旬ぐらいからです。その後、他の国の変異株が猛威を振るうようになっていきました。
つまり、この2つの研究結果は、変異株が広がる以前のデータを用いたものだということです。
変異株によっては「ワクチンが効きにくい」「若い人でも重症化する」など明確に分かっていることではありませんが、感染の強さや程度、症状の出方に違いがあることが指摘されています。2021年8月6日時点で、国立感染症研究所は、変異株”デルタ株”は、首都圏ではすでに感染全体のほぼ90%、関西でも60%余りを占めていることが推定されると発表しています。
そのため、現在の流行の多くは変異株が占めており、当初のコロナウイルスとの性質の違いが指摘されているため、変異株流行以前の研究結果をそのまま鵜呑みにはできない、ということが考えられます。
まとめ
生死に関する多大な影響を、長期にわたって及ぼし続けている新型コロナについて、ダウン症の当事者や家族は不安や心配な日々を送っていると思います。
そのため、できるだけ早く、正確な情報を得たいと考えている方も多いのではないかと思います。そのようなニーズに応えていくのも学会の役割ですので、「ダウン症と新型コロナウイルスワクチン」の情報において、正確な情報を伝えていくためには『変異株が流行する以前のデータである』ことを明記する必要があるのではないかと思います。
コロナウイルスを撲滅していくビジョンは中々見えず、「いかに付き合ってくか」というビジョンで世界が動き始めているため、今後もコロナとダウン症の関連についての研究動向には注目していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。