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ダウン症おーくんの子育てブログ
ダウン症関連

ダウン症に関わるすべてに人に知ってほしい ”DS-ASD “という人たちのこと

ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。

ダウン症の子は生まれつき多くの疾患を併せもって生まれてくることが多いです。

心臓などの循環器系、腸などの消化器系、甲状腺などの内分泌系や、その他、目や耳や血液などの異常といった多くの合併症をかかえて生まれてきます。

これらの症状は、染色体異常によるダウン症が原因で引き起こされる症状であるため、合併症と位置付けられています。

それとは異なり、ダウン症が直接の原因とならずに、他の症状も併存する場合には併存症と呼ばれます。

その併存症として、DS-ASDという人たちがいることをご存知でしょうか?

DSがダウン症なのはわかるけど「ASDとは何ぞや?」という方もいると思います。

ASDとは自閉スペクトラム症Autism Spectrum Disorder)と呼ばれている発達障がいのひとつです。

つまり、DS-ASDの人とは、染色体異常であるダウン症でありながら、発達障がいである自閉スペクトラム症(ASD)も併せもっている人ということです。

発達障がいやASDについて詳しく知りたい方はコチラの記事を参考にしてみてください

発達障害とは? 心理師が分かりやすく解説【基礎理解編】ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。 うこうこは公認心理師として、仕事で発達障害の子ども(乳幼児から高校生まで)や保護...
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DS-ASDの人って本当にいるの?

ダウン症と自閉スペクトラム症の2つの診断を受けている人は、日本では非常に稀であると思われます。というのも、日本では研究論文や文献がほとんどありませんし、認識も十分に広まっているともいえません。

しかし、現場の医師の中には、DS-ASDについて情報を発信されている方もいらっしゃいます。日本でのデータによる実態把握は今後の課題ですが、ダウン症の人の中にはある程度の割合でDS-ASDの人がいるのは間違いありません。

それでは、海外ではどのようになっているのでしょうか?実は1990年代まではダウン症にASDは併存しないと考えられていました(Turk, 1992)。

しかし、徐々に研究が進み、ダウン症の人の5%から39%が自閉症スペクトラム症(ASD)を併発しているといわれるようになりました(Moss, 2009; DiGuiseppi, 2010)かなりデータに差がありますが、これは、ASDの診断基準にばらつきがあることや、ASDの症状がダウン症の症状として重なる部分があるためとされています(Molloy, 2009; DiGuiseppi, 2010; Gray, 2011; Lowenthal, 2010; Ji, 2011)。

つまり、DS-ASDという人たちがいるということが知られるようになったのは本当に最近のことなのです。

そして、ダウン症でない人に比べて、ダウン症の人の方がASDを併存している割合が多いということがいわれるようになってきました。

DS-ASDの子の特徴は?

海外の書籍では、医師などの専門家が書いた本としてコチラの本が有名なようです。

この書籍では、DS-ASDの特徴や支援方法について幅広い観点から書かれています。その書籍の冒頭で、DS-ASDであるブレナンのことがまとめられています。ブレナンの特徴をまとめると、

  • 光などの感覚遊びにひたすら没頭する
  • ファンなど回るものが好きでずっと見ている
  • 小児けいれんを起こしていた =ダウン症の人の発作が、認知機能の低下やASDと関連することが指摘されている(Lott, 2010; Molloy, Murray, 2009)
  • アイコンタクトが乏しい
  • 声を発して要求を伝えたり、意思を伝えようとしない
  • 特定の音や声(機械音や鳴き声、たくさんの雑音など)が苦手でかんしゃくを起こす
  • 変化に弱く、予測できない変化があると逃げ出すかかんしゃくを起こす
  • 物への関心が強い一方で、他児への関心が希薄である
  • 他児に対して噛み付く・叩くなどの攻撃的な行動を起こしてしまう

といった様子が挙げられていました。まさしく、

  • 社会性やコミュニケーションの問題
  • 興味・関心の偏り(こだわりが強い、等)
  • 感覚の特異性(感覚過敏や感覚鈍麻)

といったASDの症状が示されています。

この書籍の別の章では、DSのみの子の発達の様子と、DS-ASDの子の発達の様子について、いくつかのモデルケースを用いて具体的に示されています。両者の違いについて具体的に分かりやすく示されていますので、その点については別の記事でまとめてみたいと思います。

DS-ASDの診断がなぜ重要なのか?

そもそも、DS-ASDの診断が重要なのか?というと、非常に重要だといえます。

というのは、ASDがある(併存する)場合は、ASDの症状にあった支援や関わり方(子育て)が必要になるからです。

DSだけの子は、知的障害を中心とした発達を促す支援を中心に考えて良いですが、DS-ASDの子にはASDへの支援を優先的に考える必要があります。

例えば、

  • こだわりへの対応の工夫
  • 過敏性へのケアや環境の変化をなるべく少なくする環境調整
  • 視覚化などの情報の伝え方の工夫
  • 睡眠障がいやかんしゃくへの服薬の検討

などが一般的によく言われる対応になります。

ASDの特性の強さは人それぞれ違いますので、必要とされる支援の質や量も人それぞれです。しかし、共通しているのは、ASDの人にはASDに合った支援(関わり方、環境の調整、スキルの獲得など)が必要だということです。そして、支援を受けるためには診断が必要になる場合が非常に多いのです。

きちんとした支援を受け、適切な関わり方ができれば、生活が安定する可能性は高くなります。逆に適切でない関わり方(従来の一般的な子育てのやり方が逆効果になりやすい)を続けてしまうと、状態は悪化します(こだわりが強くなり柔軟な生活が送れない、不安が強くなりかんしゃくをすぐ起こすようになるなど)。対応する周囲の家族も疲弊していきます。

「ダウン症は頑固」「ダウン症はこだわりが強い」ではなく、ASDの特性によるものである可能性があるのに、「ダウン症だから」と片付けられてしまうと具体的な支援が提供されません。特に、ASDによるこだわりを無理やりやめさせようとすると、逆に悪化する場合も多いです。

さらに、「ダウン症の人は成人期に入ると退行することが多い」ともよく言われます。しかし、このときの状態は、ASDの人が心理的ストレスが過剰にかかった状態と似ています。また、ASDの人はストレスがトラウマになりやすくフラッシュバックやタイムスリップを起こしやすく、それらの症状が顕在化して適応が悪化することがありますが、そのようなことがDS-ASDの人に起こっているかもしれません。

以上のことから、「ダウン症だから○○」と語られてきたものの背景に、ASDによる症状が関係している可能性があるのではないか、と考えられます。

そのため、DS-ASDの人には、なるべく早いうちにASDの特性の様子や強さを適切に評価をして、その特性に合った支援や対応を優先的に考えていくことが重要であるといえます。

ただ、親御さんにとっては“2つ目の診断”となります。診断を聞いて落ち込まない親はいないと思います。まして、2つ目の障がいとなればなおさらです。だからこそ、丁寧な説明だけでなく、親御さんのメンタルケアも同時に重要になってくると思います。

DS-ASDは見逃されてきた?

幼少期から他のダウン症の子と違うと感じる。

ダウン症の強みといわれる社会性が弱く、人と関わろうとしない。

かんしゃくやフリーズしてしまうことが多い。

「ダウン症は頑固だから」「ダウン症はこだわりが強い」とダウン症の特徴として励まされたりアドバイスを受けてきたがなんだかしっくりこない感じがする。

やりとりも深まらず、癇癪などの問題がなかなか改善しない。次第に社会適応が悪くなり、決まったパターンで家で過ごすようになり、そのパターンを崩れるとパニックになってしまう。

僕自身の印象ですが、このようなケースが少なくないのではないかと思っています。

2022年3月に報告された日本ダウン症協会の会員へのアンケート調査では、主に親を対象に「普段の生活の中で、ダウン症の人のどんなところに難しさを感じるか?」との問いに対して、約53%の人が「こだわり」と回答していました。

ダウン症にとって”こだわり”がこれから大きなテーマになる? 〜日本ダウン症協会の調査報告を聞いて〜ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。 本日(2022.3.27)、日本ダウン症協会が以前より実施していた調査の報告が行...

こだわりの内容については詳細は語られていませんでしたが、協会の玉井先生は「これらは、ダウン症に特徴的ではない、と考えています」と述べられていました。つまり、“ダウン症=こだわりが強いではない”と考えているということになると思います。そうすると、やはりまず考えられるがASDの特徴としてのこだわりです。

心理的な要因によるものもあると思いますので、全てのケースがASDではないとは思いますが、ASDの特性としてのこだわりを持っていて、親御さんが対応に困っている割合はそこそこあるのではないかと予想されます。

しかし、原因がASDの症状にあることを認識されてこなかった経緯があり、そういった方はかなりいるのではないかと思います。

多くの人に知ってほしいから、まずは自分が勉強します!

以上のことを考えると、DS-ASDというテーマは、きちんと理解していく必要があるし、多くのダウン症に関係する人に知ってほしいテーマであるといえます。

僕自身、発達障がいのある子を支援する専門家として、ダウン症の親として、

DS-ASDについて理解を深めたい!

と思っています。

その思いを行動で示していくためにも、まずは、先ほど紹介したコチラの本を少しずつ翻訳(ソフトの力を借りまくって訳)して、読み進めているところです。重要な部分はまとめてブログの記事にしていきたいと思っていますので、多くの方に知ってもらって意見や感想をいただけたら嬉しいです。

 

「ダウン症と言ってもいろんなタイプの人がいるんだ」

という理解が広まって

「どんなタイプの子であっても同じ21番染色体を1本多く生まれもった仲間だよね」

「だから、一緒に考えていこう」

と自然と思える未来を願って。

 

まずは知ることから!

このブログで記事にまとめて発信していきますので、一緒に学んでいきましょう!

 

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POSTED COMMENT

  1. りゅうちゃんのパパ より:

    うこうこさん、こんにちは!!
    素晴らしい記事を拝読させて頂きましてありがとうございます!
    すでにご存知かもしれませんがdseというサイトに詳しく記載があったのでご参考になればと思います。
    https://library.down-syndrome.org/en-us/news-update/04/4/autism-down-syndrome/

    • うこうこ より:

      りゅうちゃんのパパさん
      コメントありがとうございます!教えていただいたサイト、早速みてみます!!
      DS-ASDについても今後もまとめたものを記事にしていきますので、今後ともよろしくお願いします。

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