ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。
『子どもの写真や動画を撮る』
子育てをしている親の楽しみでもあり、癒しであるという方は多いと思います。
写真や動画を撮るということは、“子どもの育ちの記録を残す”ということになりますが、
この”記録を残す”ことは、ダウン症のある人にとってとても重要な関わりになります。
今回はその理由について解説をします。子どもが小さいうちから意識して取り組んでおくと良いことになりますので、是非最後まで読んでいただけると嬉しいです。
結論:その理由はダウン症の人は○○○のリスクが高いからです!
「なぜ、ダウン症の人にとって写真や動画を撮っておくことが重要なのか?」
その結論は、
ダウン症の人は認知症にかるリスクが高いからです。
「ん?どういうこと??」
と思われたかもしれませんが、分かりやすく順を追って解説していきます。
ダウン症と認知症の関係
簡単にダウン症の人と認知症の関係について基本的な知識を確認しておきます。
ダウン症の人は認知症になるリスクが高く、若いうちから発症するリスクも高いです。
認知症にはいくつかの種類がありますが、ダウン症の人が発症する認知症のほとんどがアルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー認知症では最近の新しい記憶から失われていきます。一方で、古い記憶は保たれることが多いため、”昔に戻った”かのような行動や言動をすることが増えていきます。
認知症になったときに備えて”今できること”は?
記憶が失われていく認知症になるリスクが高いダウン症の人にとって、“今からできること”は何でしょうか?
この記事を読んでくださっている方のお子さんが乳幼児だとして、今から40年後、医学が進み、予防や治療方法が見つかっていくことはあるかもしれません。しかし、認知症になるリスクを完全に0(ゼロ)にすることは難しいかもしれません。
それであれば、“今できること”は、認知症になったときに備えることです。
その方法のひとつは、認知症になったとしても生活を楽しんで送れるように準備をしてあげることです。
認知症になり記憶が失われていくと、今の自分が何者であるか?などのアイデンティティや自尊心が揺らぎます。アイデンティティを確認しようとしても、記憶が曖昧なので思い出して整理することができません。今関わってくれる家族も目の前の人が誰で、どういう関わりがあったのかについても不明瞭になっていくため、確認の手段がなくなっていきます。そういう状態でれば、不安になったり逃げ出したくなるのも当然です。しかし、その結果、問題行動が多発することになり、支援者の意欲も削がれていってしまい、生活全体の質が低下していっていまいます。
そこで、過去の記録、つまり写真や動画があればどうでしょうか?
過去の大切だった人、好きだった遊び、お気に入りの場所、記憶に残る思い出などを確認できれば、アイデンティティの混乱や自尊心の低下に歯止めをかけ、それに起因する問題行動を防止することができるかもしれません。
このような、過去の大切な出来事や手がかりになることを集め、振り返ることで、その人の人生の物語を形作る支援をライフストーリーワークといいます。
現在、具体的なエビデンスは明確ではなく実践研究は少ないですが、認知症支援として効果があるといった研究報告も増えています。
例えば、日本のある事例研究では、重度の知的障がいのある認知症高齢者に過去の写真を整理するライフストーリーワークを実施したところ
- 支援員との会話のきっかけとなり、会話を楽しむようになった。
- 他の利用者と一緒に写真を見たり、写真について会話をするようになり、生活の楽しみが増えた。
- 過去の記憶についての話を聞くことで、具体的な支援方法を検討し、実践することができた。
という良い効果が見られたとの報告がされています。
堀川慶太ら 2021 認知症を発症した知的障害者に有効な支援とは -ライフストーリーワーク実践の再検証- 国立のぞみの園紀要14巻 p.18-22
以上のことから、
写真や動画を小さい頃から撮り溜めておくことが、将来もし認知症になっても、自分の尊厳を保ち、他者との交流を促進し、余暇活動を楽しむ、といった生活を支援することに役立つと考えられるのです。
不安の多くは「見えないから」。だからこそ知識は重要!
“ダウン症は認知症になりやすい”
そう聞くと、親としては不安で不安で仕方がない気持ちになります。そして、なんか「かわいそう」な感じに思えてしまって胸が苦しくなります。
ただ、どんな子育てだって将来の不安はつきものなのは変わらないはず!
そして、不安の原因は「分からない=見えない」ことが原因であることが多いです。
だからこそ、まずは少しずつでも「知ること」から始めていくことが大切です。
今回の認知症に関しては以下の本がオススメです↓
そして、今できることを知り、行動していくことも大切です。
なんか少しでも「やってるぜ感」を感じられることは、親のメンタルにも子どもとの関係にも良い影響をもたらせてくれます。
今後も、ダウン症と認知症についての知見などについてもまとめていきたいと思いますので、今後もチェックしていただけると嬉しいです。