ご覧いただきありがとうございます、うこうこです。
障がいのある子や何かしらの配慮が必要な子が、入園や入学となったとき、その子の状態や特徴を分かったもらうために、サポートブックを作られる方は少なくないと思います。
特に現在では、コロナ感染拡大のために、年度当初に先生たちとしっかりと話ができない状況にあり、また、家庭訪問も省略または短時間となっているところも多いため、子どものことを直接伝える機会が減っていることと思います。
そのため、子どもの特徴を伝えるためのサポートブックなどの重要性は増していると感じています。
ということで、おーくんの保育園入園に合わせて、サポートブックならぬサポートシートとやらを作ってみました!
なぜサポートシートにしたのか?、何を参考に作成したのか?などについて、障がいのある子どもに関わる心理師としての視点も加えながら、まとめてみました。ひとつの視点として参考にしてもらえると嬉しいです。
おーくんのサポートシートはこちら!
実際に作成したサポートシートはこちら↓
割とコンパクトな感じの内容になっているかと思います。
なぜサポートブックではなくシートにしたのか?
これは、僕自身の心理師としての経験から判断しました。
心理師として発達検査、知能検査、性格検査などの検査を行い、まとめたものを報告書として作成し、保護者を通して園や学校の先生に見てもらう機会がたくさんありました。ほとんどの先生は目を通してくれるのですが、長文になると、要点が伝わりにくく、記憶にも残りにくくなってしまい、”読むだけ”になってしまっていました。
そこで、A4一枚で、ポイントは3つまで(段落・内容共に)と工夫し形式を変えたところ、「読みやすく分かりやすい」「何度も見返しやすいので対応を考えるときに役立っている」と言っていただける機会が増えました。
そのような経験を踏まえて、サポートブック形式ではなく、要点を抑えやすいシート形式にしました。
何を参考にして作成したのか?
全体の形式について参考にしたのは、長谷川先生の著書「ダウン症神話から自由になれば子育てをもっと楽しめる」です。
おーくんのサポートシートの全体の形式は、長谷川先生の著書に記載されてある図を参考にさせていただきました。『一般の子と同じ部分の方がたくさんある』という認識は、“ダウン症についての理解をしながらも、その子全体をしっかりと見ていくこと”につながり、その認識は親だけでなく支援者にとっても重要な視点となります。
もう1冊は、発達の専門家もお薦めしている「発達がわかれば子どもが見える」です。
子どもの発達段階ごとに、何ができるようになるのかをとても細かく分かりやすく書かれている本で、支援者だけでなく保護者にもお薦めできる本です。
「今どんなことができて、何が難しいのか」について、発達の観点から整理して、支援者に伝える際には役に立つ本だと思います。
3つの要点と「なぜ具体的に書かなかったのか?」その理由
これらの本を参考にして、おーくんの場合は以下のポイントを押さえてコンパクトにまとめました
- 現在の発達の様子
- ダウン症の主な特徴
- “ダウン症”以外のおーくんの特徴
伝える要点を3つまでに絞ってまとめました。
また、おーくんのシートには、好きな音楽や遊びの具体例を載せていませんが、それには理由があります。
「一本橋こちょこちょが好きです」とか「サンサン体操の曲が好きです」とか、最初から伝えてしまうと、先生が子どもの対応に困る時や他の子の対応に手が離せなくて何かしてほしい時とかに、その方法に頼ってしまう可能性があるためです。そうすると、家庭でも保育園でも同じような遊びをしているだけになってしまいます。先生自身の主体性を発揮して、試行錯誤しながら関わってもらうことで、おーくんの経験や興味の幅を広げてもらいたいという思いがあり、具体的な内容はあえて記載せずに作成しました。
読んでもらった先生が、
「ダウン症の特徴としてはこんな感じなのね〜。そこは考えつつ、基本は1歳3ヶ月ぐらいの発達段階の子どもとして関わっていけばいいのね!じゃあ、こんなふうな関わりを考えたらいいかな〜」
という感じで、先生がこれからの関わりに具体的なイメージを描いてもらえるようなシートになれば大万歳!って思いを込めて作成しました。
先生の反応はいかに…??
こちらをA4一枚に印刷し、保育園の先生に渡しました。
先生からは「じっくり読ませてもらいます!」と言っていただきました。
担任とサポートの先生とで読んでいただいたようで、「視覚からの情報が大切とのことなので、色々と見せながら遊びや関わりを工夫しています」とのことでした。
先生の方で色々と試行錯誤していただいているようで、おーくんも少しずつ慣れていくでしょうし、経験や興味の幅が広がりそうでとても良かったと思っています。サポートシート作成の目的は十分に果たしてくれたかなと思います。
まとめ
障がいのある子の集団参加において、サポートブックなどが役に立つことは多いですが、一方で、逆効果になってしまっている場合もあります。
細かく丁寧に伝えたいあまりに、「こういう子だからこうしてください!」と伝えた結果、支援者側に『保護者に言われたらそうしないわけにはいかない』という思いが生まれ、支援者としての主体性が発揮できなくなってしまうケースがあります。
サポートブックなどの情報提供は、“知ってもらうこと”が目的ではなく、”先生が子どもにとって前向きに関わるために必要な情報を伝えること”が目的だと思います。情報を受け取る側の支援者が、イメージが持ちやすくなり、先生の主体性や前向きな気持ちをもってもらうことが大切です。
そして、サポートブックなどは、あくまで、支援者との共通理解の最初の土台となるものですので、これから先生たちとコミュニケーションや連絡を取り合いながら、おーくんに対しての共通の理解を積み重ねていきたいと思います。
長くなりましたが、サポートブックやシートの作成を考えている方や関心がある方の少しでも参考になれば幸いです。
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